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# タツトブマチ:再販情報

タツトブマチ

 

2016年リュウの行商人にて展示&販売した「タツトブマチ」を再販致します。

 

▼サンプル代わりの序文はこちら▼

 

再販……と言いつつ20ページほど大加筆&修正バージョンです。

カシラ・ホテルの「竜のコース」や竜ノビルなどなど、さらに書き込みました。

 

そして巻末には書き下ろし後日談「某日、私のねぐらで火吹きカレー」を収録!

竜ノ都から帰ってきた犹筬瓩後日買い物に行ってだらだらとカレーを仕込む話です。

 

タツトブマチ

 

さらに今回は装丁も一新!

Hiroko Yagihashiさんが竜ノ都をイメージして描いてくれました。

勿論plaさんのイラストも口絵として収録させて頂きましたよ……!

 

新版「タツトブマチ」はカギの行商人物販にて販売予定です。

どうぞ会場にてお手にとって下さいね。

よろしくお願い致します!

 

 

| comments(0) | trackbacks(0) | 14:40 | category: リュウを語る |
# タツトブマチより「旅のしおり、という名の前書き」

▼再販に伴いサンプル代わりに序文を掲載致します。

 

 

 

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 ぽっかり休みができたので、唐突だが旅に出ることにした。一人旅である。誰か連れがいればそれはそれで楽しかろうが、唐突な私の思いつきに付き合ってくれる奇特な暇人など中々いない。ゴールデンウィークが終わったばかりとタイミングも悪かった。

 

 出発は五月二十一日木曜日、二泊三日の旅だ。行く先は旅行代理店のサイトを眺めていて目についた竜ノ都に決めた。言い伝えによれば竜ノ都の街はかつて、一頭の巨大な竜の住処であったそうな。竜ノ都の住人たちはその一頭をただ猯記瓩箸、あるいは爛劵屮瓩噺討鵑世蠅垢襦ヒブキとは即ち牴仗瓩瓩琉佞澄ヒブキはその縄張りに他の生き物を一切寄せつけず、もうもうと煙を噴き上げる火山を寝床にただ独り長い歳月を生きたといわれている。

 

 だがそれは、街が竜ノ都と呼ばれるようになるよりもずっと前、昔々の太古の話。現在の竜ノ都は高層ビルの連なる近代的な街並みと、竜の息吹を感じるような豊かで荒々しい自然とが入り混じる人気の観光地だ。

 

 観光の目玉は火吹き山の中腹から市街地を貫き、三ツ頭湾へと点々連なる巨大な乳灰色の岩石らしき塊――まるで竜が山に寄りかかったまま息絶え朽ち果てた残骸のようなそれ――竜の骨である。

 

 ちなみに竜の骨というのは比喩ではない。それは文字通りの代物で、正真正銘あのヒブキの遺骸なのだそうだ。長い年月のうちに山頂近くにあったはずの頭蓋骨こそ失われてしまったが、残された首なしの竜は風景の中に溶け込みながらも圧倒的なスケールでもって大地に横たわっている。人々はそんな己の手の届かぬ過去の痕跡を一目見ようと竜ノ都へ旅をするのだ。

 

 花の見頃を過ぎた今の時期、竜ノ都はちょうどオフシーズンであるらしい。お蔭でホテルは人気のカシラ・ホテルが予約できた。失われた竜の頭蓋骨をイメージした外観のホテルだそうだ。レビューによればダイニングレストランで提供している竜にちなんだコースがおすすめとのこと。折角なので値は張るがコースメニューがセットになったパックを申し込んでみた。

 

 なお私は車酔いする性質なので在来線と新幹線を乗り継いで竜ノ都まで向かう。最寄駅から竜ノ都までは三時間ほど、そこからホテルまでは仕方がないので送迎バスを利用する。カーブの続く山道を虚ろな顔でひたすら耐えることになるだろう。

 

 竜ノ都へ着いたらまずは観光案内所へ寄って、パンフレットをいくつか入手するつもりだ。ついでに話が聞けそうであればおすすめの観光スポットを確認しておこう。個人的に竜ノ都を一望できるという竜ノビルと博物館だけは欠かせない。他は慌ただしくならない程度に適当に回るつもりでいる。

 

 旅支度は最小限、大きな都市なので不自由することもない。財布、携帯、充電器に文庫本、手帳と筆記具、ティッシュとタオルハンカチ。替えのシャツに下着と靴下、ディナー用にきちんと見えるジャケット。日差しは強いが風は涼しいようだから薄手のカーディガンを羽織っていこう。万が一火吹き山とやらに登りたくなったときの為に靴はしっかりとしたものを、それと防水性に優れた上着があれば問題ないはずだ。腰にはウエストポーチ、鞄は使い慣れたリュックサックを背負っていけばいい。遠足前の小学生のように頭の中でリストをひとつひとつチェックしながら荷造りを済ませる。

 

 竜の死肉の上に芽吹き、竜の骨に寄り添うようにして花ひらいた街、竜ノ都。さて、一体どんな街なのだろうか。年甲斐もなく浮き足立っているのは自覚している。旅を終えて地元へと戻ったら何か書いてみようか。そんなことを考えていれば出発前夜、眠れぬまま時間は刻々と過ぎていった。

 

 

 

――2016リュウの行商人「タツトブマチ」より

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